庭木
というか鉢植えの木があってだな
ぴこぴこ生えてきたあどけない芽を私の名前の木のためには抜かなければならない
風に乗って飛んできてやっと根付いた土から引き離す
あまり幼いうちに抜いたやつは、水やりしてると、白い根を丸出しにしたまましばらく生き続けていたりする 葉が緑のままだからわかる でもそのうち死ぬ
土とシュートの一部が手にくっついてる 今二、三新しい命を殺した罪を、私よりいくらか長く生きても鉢が狭く根を張れないのでいっこうに大きくなれない、毎年新しい枝を揚々と伸ばしては次の年にはいくらか枯死してしまう、これはこれでかわいそうな木のために、、ために注ぐ、薬罐一つ分の流水で、雪がれるよう祈り、手についた罪の痕を濯ぐ
ちなみに一般的にこのようなささいな悪行には誰も報いてくれないので、鮮やかに目覚めた自覚はそのたびに枯死して、この木のように私もまた、ある角度には二度と手を伸ばせない 輪切りにされたら年輪がいくつあるかも知れようけどまだ奪わないから幹は十年前と同じように細いままそれでも毎年新芽を開き南を望むかわいいね